東京都江戸川区の社会保険労務士事務所、ヒトと会社の絆を結ぶエキスパート

北村社労士事務所事務所通信

バックナンバー2012.01〜2012.12

平成24年12月号 Kitamura SR News

最近の労働裁判からピックアップ

◆たばこの煙で安全配慮義務違反?
仕事中の受動喫煙が原因で病気になったとして、岩手県の職員男性が同県に対して損害賠償(約890万円)などを求めて訴訟を起こしていましたが、盛岡地裁は請求を棄却しました(10月5日判決)。この男性は平成20年1月ごろ公用車を運転した際、車内におけるたばこの煙が原因となって、鼻の痛みや呼吸困難が発生し、同年4月に「化学物質過敏症」と診断され、その後、平成21年7月までの約1年間休職となりました。
裁判では、県が「公用車の少なくとも1台を禁煙車にしなかったこと」が、安全配慮義務違反となるかどうかが争点だったようですが、裁判長は「男性が呼吸困難を発症した20年当時、残留たばこ煙にさらされないようにすべきだとの認識は一般的ではなかった」とし、安全配慮義務違反には該当しないと判断しました。

◆エンジニアの死亡は過労によるものか?
システム開発会社(本社:東京都)のエンジニアだった女性が死亡した原因は過労にあったとして、女性の両親が元勤務先に対して損害賠償(約8,200万円)を求めていましたが、福岡地裁は過労死と認め、約6,820万円を支払うよう命じました(10月11日判決)。この女性は平成10年に入社して福岡事業所に勤務し、平成18年からシステム改修のプロジェクトに携わり、午前9時から翌日の午前5時まで働くこともあったそうです。平成19年3月に自殺を図った後に職場復帰をしましたが、同年4月、出張先のホテルで致死性不整脈のため死亡しました。
裁判長は、平成19年2月の時間外労働時間が127時間を超え、プログラム完成などの精神的緊張もあったとして、死亡と業務との因果関係を認めました。

◆契約更新拒否は解雇権の濫用か?
空調機器会社(大阪市)の元期間従業員4人が、有期雇用契約に上限を定めて契約更新を拒否されたのは解雇権の濫用であるとして、元勤務先に対して地位確認などを求めていましたが、大阪地裁はこの請求を棄却しました(11月1日判決)。当初、4人は請負社員として勤務(6〜18年間)していました。大阪労働局が平成19年12月に「偽装請負」であるとして是正指導を行い、会社は平成20年3月に4人を正社員として雇用(期限付き)しましたが、22年8月末以降の契約を更新しませんでした。
裁判長は「解雇の手続きを踏まずに期間満了によって契約が終了する点に着目して有期雇用契約を申し込んだにすぎず、解雇権濫用とはいえない」と判断しました。

「職場の飲みニケーションは必要」は古い考え!?

◆約6割が「職場の飲み会は必要」
「飲みニケーションは必要だ!」という考えも今や昔の話とも思われがちですが、まだまだ健在のようです。株式会社インテージが今年8月に実施した「仕事帰りの外飲み事情2012」(ビジネスパーソン意識調査)の結果が発表されましたが、この調査によれば、約6割の人が「職場の飲み会は必要」と思っていることが明らかになりました。

◆仕事帰りの飲みの相手は誰?
最近3カ月の仕事帰りの外飲み(職場以外の人との飲みも含む)の状況ですが、67.1%の人が飲みに行っており、男性20代で81.0%、女性20代で75.0%でした。32.9%の人が飲みに「行っていない」と回答しましたが、特に女性30〜50代の割合が高いようです。
仕事帰りに飲む相手の上位は、「職場の同僚(同性、異性問わず)」が最多(56.1%)であり、「職場の同僚(同性のみ)」(33.3%)、「職場の上司」(32.6%)が続いています。
やはり、仕事の延長で職場の人と飲みに行く人が多いようです。

◆職場の飲み会は必要or不要?
職場の飲み会については、約6割(58.9%)の人が「必要だと思う」と回答し、男性のすべての年代と女性の20代では6割以上が「必要」と回答しているのに対し、女性の30〜50代では5割以上の人が「必要だと思わない」と回答しています。職場のコミュニケーションを図る1つの方法として「職場の飲み会」は有効なようですが、20代男女の3割以上は「上司からの誘いを断ることができない」と思っている状況もまた、あるようです。

今後重視される安全衛生分野における取組み

◆「第12次労働災害防止計画」の策定に向け審議中
「第12次労働災害防止計画」とは、労働安全衛生に関して、平成25年から平成29年度までの5年の間に、国(厚生労働省)が計画的・重点的に対策を行う内容を定めるものです。現在厚生労働省労働政策審議会安全衛生部会に骨子案が示され審議中です。

◆高年齢労働者増加への対応
まず特徴的なのは、高齢化や改正高年齢者雇用安定法の施行により、今後も増えるとされる高年齢労働者に対する取組みです。
骨子案では、次の事項が指摘され、対策を強化する必要があるとしています。
(1)60歳以上の高年齢労働者数
平成14年(約400万人)→ 平成19年(約550万人)に増加
(2)労働災害に占める60歳以上の割合
平成19年(16.3%)→ 平成23年(20.5%)に増加
(3)平成22年の労働災害発生率
〔死傷災害〕
全年齢平均(2.14/千人当たり)
60歳以上(3.08/千人当たり)
〔死亡災害〕
全年齢平均(0.22/1万人当たり)
60歳以上(0.47/1万人当たり)…非常に高い数値

◆改正労働安全衛生法とメンタルヘルス対策
労働安全衛生法の改正(改正法案は今国会では廃案になりましたが)では、健康診断時のストレスチェック制度や受動喫煙対策の推進も明記され、労働者数50人以上の会社についての重点的な対策が検討されていたようです。昨今のメンタルヘルスに関する状況を見ていると、今後も労働者の安全・健康管理に対する国の施策が進められていくのは確実なようです。

◆対策が強化される業種は?
労働災害防止対策を重点的に進める業種として、「建設業」「貨物運送業」「第3次産業(小売業)」「介護事業(社会福祉施設)」等が挙げられています。これらの業種では、業務に伴う発生率の高い災害を防止するとしています。
なお、恒常的な長時間労働などは、行政による是正指導・是正勧告、そして様々な労使トラブル(合同労組・ユニオン等からの団交要求、多額の損害賠償請求、無用な裁判費用、新たな労災・メンタル不全の発生…etc)の元凶となりますので、早めの取組みが大切です。

=当事務所から=
来年の干支の巳にちなみ、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させ、また、餌を食べなくても長く生きられることから神の使いとして崇められていました。例えば、七福神のひとつである弁財天は、蛇を使者に用い、その化身が蛇であるともされていますので、蛇の形をした神として祭られていることもあります。弁財天はご承知の通り、蓄財や芸能の神ですが、当事務所も皆様に「財」をもたらすために、蛇が脱皮するが如く一皮も二皮も剥けた形に成長できるよう、邁進してまいりたいと存じます。

平成24年11月号 Kitamura SR News

スマホ等の「ブルーライト」が眼の健康に及ぼす影響

◆「ブルーライト」って何?
パソコンやスマートフォン、携帯用ゲーム機やタブレットの液晶ディスプレイ、またLED照明などから発せられる光のうち、可視光線で最も強い青色光を「ブルーライト」といい、他の色の光のように眼の角膜や水晶体で吸収されず、網膜まで達します。青色光よりさらに強い紫外線については、長時間浴びると角膜炎等の眼病を生じることが明らかになっていますが、青色光も、眼の中で光を散乱させ、眩しさを感じる原因となることが判っています。

◆目の健康にどのような影響を与える?
青色光は眩しさを感じる原因であることから、長時間青色光を発する光源を見続けると、眼精疲労を引き起こす可能性が指摘されています。     また、人間は青色光を見ると「今は活動時間である」と感じ取り、脳が覚醒することから、夜遅くに青色光を見続けることで体内時計が狂ったり、睡眠障害を引き起こしたりする可能性が指摘され、研究が進められています。

◆ブルーライト保護商品の効果は?
青色光を50%カットする効果のあるメガネが、あるチェーン店では発売開始から1年ほどで75万本超を売上げ、パソコンやスマートフォンの液晶保護フィルムも人気を集めています。眼科医や大学教授らで立ち上げたブルーライト研究会では、保護メガネの使用が眼精疲労や睡眠に及ぼす影響に関する調査結果を発表していますが、いずれも一定の効果があったそうです。
ところが、人間の水晶体には元々青色光をブロックする仕組みがあること、自然光にも青色光が含まれていること、また、目を酷使することが眼精疲労の原因となることから、まだ青色光が有害とは言い切れないとする見方もあるようです。

◆ブルーライト保護商品に頼らずに眼の疲れを軽減するには?
オフィスにおける眼精疲労の原因には、何と言ってもパソコンの長時間使用が挙げられるますが、モニタの明るさを落としたり画面の背景色を変えたりするだけでも、疲労感を軽くすることができるそうです。VDT作業については、厚生労働省も従事者の心身の負担を軽減するためのガイドライン等を設けています。肩こりや眼精疲労に悩む社員がたくさんいるという企業では、これらを参考に作業環境を見直してください。
東京労働局「新VDT作業ガイドラインのポイント」でインターネット検索してください。

職場のコミュニケーションは円滑ですか?

◆約9割が仕事で「自分の考えがうまく伝わらない」
学校法人産業能率大学が平成23年にビジネスパーソンを対象に実施した、ビジネスシーン、職場におけるコミュニケーションの意識調査「ビジネスパーソンのコミュニケーション感覚調査」(対象:20代〜50代のビジネスパーソン337人)によると、仕事のコミュニケーションとして「自分の考えがうまく伝わらない」と考えている割合が約9割にも上ることがわかりました。
その理由として、「自信をもって自分の考えを主張できないから」「自分の考えに論理性や合理性がないから」など、自分に原因があるという回答が5割を超える一方、「相手に聞く姿勢がないから」など、相手に原因があるとする回答も52.7%と半数を超えました。

◆6割強が「職場で孤独を感じる」と回答
職場で「ギスギスした雰囲気があるか」という質問には、36.2%が「ある」と回答しました。
また、「職場で孤独を感じるか」との問いには、6割強が「ある」と回答し、その理由について、「自分のことしか考えていない人が多いから」(34.8%)、「メンバー同士の関係性が希薄だから」(34.3%)、「世代のギャップがあるから」(33.8%)、「仕事が縦割りでお互いの状況がよくわからないから」(32.4%)が挙げられています。
また、「IT化で対話が減少した」(11.1%)という回答もありました。

◆「職場のコミュニケーション活性化」が
労務トラブルも予防する
職場のコミュニケーションがうまく図れていないと、業務に支障をきたすだけではなく、昨今問題となっている職場のパワーハラスメント等にも発展しかねません。
厚生労働省は今年10月1日から「みんなでなくそう!職場のパワーハラスメント あかるい職場応援団」というサイトを開設しており、その中で職場におけるコミュニケーション環境を向上するための連載を取り上げたり、パワーハラスメントと職場のコミュニケーションの関係について触れたりしています。
職場でコミュニケーションに特化した社員研修を取り入れたり、1人ひとりが適切かつ積極的な声掛けを行ったりすることで、パワーハラスメントをはじめとした労務トラブルの予防に繋がればと期待します。

「BYOD」ってご存知ですか?

◆「BYOD」とは?
最近、スマートフォン、高性能ノートパソコン、タブレット等の業務利用が増えてきているようです。特に、私物のモバイル機器を業務に利用することを「BYOD」というそうです。「BYOD」は、"Bring Your Own Device"の略で、「私物モバイルの業務利用」という意味です。

◆企業のメリット
個人情報保護法の施行以来、個人のモバイル機器の利用については「原則禁止」とする企業が大半でした。しかし、すでに世の中の状況は変化しており、個人所有の機器を利用することによる企業のメリットもあります。
(1)企業支給のものより個人所有のもののほうが高性能であることが増えた
(2)自宅や外出先でも、「クラウド型サービス」が利用可能なことが多くなり、端末の種類を問わず利用できるようになった
(3)モバイル勤務環境を構築しやすくなったため、緊急時の事業継続性が確保できる
(4)セキュリティー技術、管理ツール・サービスの発達により、利便性を損なわず安全にBYODを導入出来る環境が整ってきた
使い慣れた機器を利用することで、従業員の業務効率やモチベーションのアップにもつながります。

◆企業のリスク・課題
しかし、利用にあたっては、企業が検討すべき課題も当然ありますし、導入にあたっては、従業員に対する情報管理教育の実施や内部規程の整備が前提となります。
(1)個人情報・機密情報等の情報漏洩、ウイルス感染等のセキュリティー対策
(2)「いつでも」「どこでも」業務活動ができる状況についての勤怠管理
(3)利用する機器内にある従業員のプライバシー情報の取扱い
(4)端末購入費や通信費に対しての補助が必要か
(5)IT管理者の知識向上、機器のアップデート等のコスト
◆真剣に検討すべきとき

日常生活や諸官庁の届出まで、IT化は加速度的に進展しています。いつまでも「リスクが、リスクが…」と言って敬遠しているわけにもいかないのが実情のようです。そうした逃げの姿勢では、会社の事業活動は萎縮するばかりです。便利で業務効率を上げくれるBYODですが、「リスク」と「メリット」のバランスを慎重に検討した上で、導入の可否を決定する必要があります。

平成24年10月号 Kitamura SR News

最近の労働裁判から(飲酒運転で退職金不支給、能力不足で解雇)加入事業者への影響

◆飲酒運転による事故での退職金全額不支給は適法
京都市の中学校の元教頭(52歳)が平成22年4月に自宅で飲酒した後に自家用車で外出し、さらに社内でも飲酒し、物損事故(車に追突)を起こしました。その後、この元教頭は懲戒免職処分を受け「退職金全額不支給処分」をなりましたが、不支給処分の取消しを求めて訴訟を提起しました。一審は(京都地裁)では、原告側が勝訴(全額不支給処分は取消し)となりました。

この訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、原告側勝訴となった上記の一審判決を取消し、元教頭の請求を棄却しました(平成24年8月24日判決)。請求棄却の理由として、大阪高裁の裁判長は、「飲酒運転の内容は極めて悪質・危険であり、これに対する非難は大きく、公教育全体に対する信頼を失墜させた」とし、さらに「学校教育に貢献して勤務状況が良好だったことを考えたとしても、処分に裁量権の濫用があったとはいえない」と判断しました。

◆外資系企業における能力不足による解雇は無効
アメリカの金融・経済情報サービス会社に勤務する日本人男性(50歳)は、平成17年11月に中途採用され、平成21年12月以降、独自記事の執筆、同社の「業務改善プラン」への取組みなどを命じられました。その後、記事本数の少なさ・記事の質の低さ(能力不足)を理由として、男性は平成22年8月に解雇されましたが、「能力不足を理由として解雇されたのは不当である」と主張し、同社に対して「地位確認」および「賃金支払い」を求めて訴訟を提起しました。

この訴訟の判決において、東京地裁の裁判官は、解雇を無効とし、男性の請求を全面的に認めました(平成24年10月5日)。裁判官は、「労働契約の継続を期待できないほどに重大だったとはいえず、会社が記者と問題意識を共有したうえで改善を図ったとも認められない」とし、「解雇理由に客観的な合理性はない」と判断しました。男性側の弁護人によれば、外資系企業を中心に、無理な課題を設定する「業務改善プラン」の未達成を理由とした退職強要が相次いでおり、上記判決はこの手法による解雇を無効と判断した初めてのケースだそうです。

改正高年法施行後も継続雇用しなくてよい状業員とは?

◆来年4月1日に改正法が施行
8月29日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(改正高年齢者雇用安定法)が成立し、来年4月1日から施行されます。改正の大きな柱は、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み」の廃止、つまり、原則として「希望者全員を継続雇用制度の対象者とすること」の義務付けです。

◆「例外」の内容(案)
しかし、上記の「原則」には「例外」が認められることとなっており、その「例外」の案が厚労省から示されました。その内容は次の通りです。
(1)「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること」、「勤務状況が著しく不良で引続き従業員としての職責を果たし得ないこと」等、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。
(2)就業規則に定める解雇事由または退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることができる。
(3)また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。
(4)なお、解雇事由または退職事由とは異なる運営基準を設けることは改正法の趣旨を没却する恐れがあることに留意する。
(5)ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的理由があり、社会通念上相当であることが求められることに留意する。

◆11月以降に正式決定の予定
上記の案は、今年11月以降に正式決定される予定です。企業としては、来年4月以降に定年を迎える個々の労働者について、継続雇用(再雇用)の対象者とするかしないのか、継続雇用(再雇用)する場合の処遇(賃金等)をどのようにするのか等について、予め検討しておく必要があります。

自分の貯蓄額は多い?少ない?気になる貯蓄額の実態

◆若手社員の平均貯蓄額は338万円
転職サービス「デューダ」が22〜34歳のビジネスパーソン(5,000人)を対象とした貯蓄額調査によると、平均貯蓄額は338万円で、3年連続増加したそうです。
増加の原因として、「給料やボーナスが増えた」「株式投資やFXなどの運用がうまくいった」などといった景気回復によるものが目立った一方で、「貯蓄に回す金額を増やした」「会社の積立制度に加入した」といった理由も多く、将来に不安を抱える人が意識的に消費より貯蓄を選択する傾向があるようです。

◆貯蓄額の分布
貯蓄額の分布は、次の通りです。
50万円未満 23%
50〜100万円未満 18%
100〜200万円未満 14%
半数以上の人は貯蓄額が200万円未満という結果でしたが、「500〜1,000万円未満」(12%)、「1000万円以上」(7%)という高額貯蓄者も2割近くいることもわかりました。

◆都道府県別の貯蓄額
平均貯蓄額が最も多い都道府県は、「岐阜県」(451万円)で、貯蓄額分布を見ると「500〜1,000万円未満」と「1,000万円以上」の合計が29%で、他県に比べ高額貯蓄者が多い傾向が見られました。貯蓄方法については、「定期的に貯金するよう心がけている」「無駄遣いしない」など、堅実に貯蓄を増やしている人が多いようです。一方、貯蓄額が最も少ない都道府県は「大分県」(94万円)で、貯蓄が増えない理由について、「車を購入した」「自動車に維持費がかかる」といった車に関するものが他県に比べ多かったようです。地域ごとに見てみると、東海・北信越・関西など、日本の中央に位置する地域は貯蓄が多い一方、九州・沖縄や北海道・東北など、日本の端に位置する地域は貯蓄が比較的少ない傾向が見受けられます。

10年分納付が可能に 〜年金保険料の後納制度

◆◆ 受給要件も併せて短縮
身体的・経済的な理由で保険料の納付が困難な人や学生は、厚生労働大臣の承認を受けて保険料の全額あるいは一部が免除されます。追納とは、この免除された部分について遡って10年分を納付できるものです。これに対し、特に理由もなく未納だった保険料は、通常2年分しか納めることができませんでした。法律改正により平成24年10月1日から3年間の時限措置として、国民年金の被保険者期間のうち、保険料納付済期間および免除期間以外の期間で、時効消滅したものに限り、10年以内の保険料(後納保険料)を納めることができます。

平成27年10月以降は、消費税の引上げとともに年金制度も改正され、年金受給に必要な加入期間が25年から10年に短縮される予定です。仮に保険料を全く納めていなくても、10年分を納付できれば老齢基礎年金を受給できます。
平成24年9月号 Kitamura SR News

派遣・パート・アルバイトの時給の動向

◆派遣スタッフの平均時給
リクルート社が行った「派遣スタッフ募集時平均時給調査」(2016年6月)によると、三大都市圏における2012年6月度の募集時平均時給は1,480円で、20ヵ月連続で前年同月比を上回る結果となった。この調査では、(1)オフィスワーク系(2)営業・販売・サービス系(3)IT・技術系(4)クリエイティブ系(5)医療介護・教育系の5つの職種に分けて調査を行い、5月度まで(1)(2)(5)が前年同月を下回っていたが、6月度は(2)が前年同月を上回り、5職種中3職種で前年同月を上回る結果となった。

◆エリア別に見ると?
関東・東海・関西のうち前年同月比プラスとなったのは関東のみで、前年同月の平均時給1,547円に対し1,550円であった。 東海の平均時給は前年同月と2012年6月度のいずれも1,308円で、関西では前年同月1,327円、2012年6月度1,326円。

◆パート・アルバイトの平均時給
また、同社の「パート・アルバイト全国エリア別募集時平均時給調査」(2016年6月)によると、三大都市圏における2012年6月度の募集時平均時給は950円で、前月比プラス2円としたものの、前年同月比ではマイナス2円という結果。同調査は、(1)販売・サービス系(2)フード系(3)製造・物流・清掃系(4)事務系(5)営業系(6)専門職系(7)その他の7つの職種に分けて、(1)(3)(4)(5)で前月比プラス、前年同月比では(6)以外の全ての職種でプラスとなった。

◆エリア別に見ると?
首都圏エリアの平均時給は993円で前月比プラス4円でしたが、前年同月1,001円からマイナス8円という結果。
東海エリアの平均時給は889円で、前月892円、前年同月897円のいずれも下回った。
関西エリアの平均時給は前月と同じ898円で、前年同月901円を3円下回った。

「合同労組」との団体交渉をめぐるトラブル事例

◆合同労組からの救済申立が増加傾向
東京都労働委員会から、平成23年における「不当労働行為審査事件」の取扱状況が発表された。これによると、合同労組からの救済申立は89件(新規申立事件の約8割に相当)であり、過去10年では最高となっている。
以下では、労働委員会が取り扱った(命令を出した)、合同労組との団体交渉をめぐる最近の事例を紹介します。

◆団交の時間・場所の限定が不当労働行為に該当したケース
この事件は、国立大学である大阪大学が、教職員組合による団体交渉の申入れに対し、開催時間を「午後0時から午後1時の昼休みの時間帯」と指定し、開催場所を特定の地区に限定したことが、不誠実団交に該当するとして、救済申立があった事件。なお、以前は、団交は勤務時間中や勤務時間終了後に行われていた。
初審(大阪府労働委員会)は、大学側に対し、団交申入れに開催時間・場所の条件を正当な理由なく限定しないことおよび文書交付を命じたところ、大学側はこれを不服として中央労働委員会に再審査を申し立てていた。
結論として、再審査申立ては棄却され、「大学が団体交渉の開催時間と場所を限定したことには正当な理由がなく、不当労働行為に当たる」とされた(7月9日)。

◆団交拒否が不当労働行為に該当したケース
千里金蘭大学(大阪)が、希望退職に応じなかった准教授(2人)が所属している労働組合と誠実に団体交渉を行わなかったのは不当労働行為に該当するとして、大阪府労働委員会は「不当労働行為を繰り返さない」とする誓約文を組合側に渡すように大学側に命じた(7月13日)。大学側では、2010年10月以降、組合側と団体交渉を続けていたが、2011年度の教員配置の詳細を明示しないまま、希望退職に応じない場合は事務職へ職種変更するとし、その後、准教授は2011年3月末に解雇されていた。

アダルトサイトの相談、トップ  サラ金を上回る

◆国民生活センターまとめ
全国の消費生活センターに2011年度に寄せられた相談は約88万件あり、内アダルトに関する相談は9万5千件で商品・サービス別で初めて1位となった。
国民生活センターによると、アダルトサイトに関する相談は集計を始めた09年度から年々増加。09,10年度に相談の1位だった「サラ金・フリーローン」を上回った。

◆相談内容
◎スマートフォンでアプリをインストールしたら登録料9万円を請求する画面が出て、無視していたら電話がかかってきた ◎中学生の息子が携帯型ゲーム機でサイトに入り、年齢認証などで何度か「はい」をクリックしたら、8万5千円を現金書留で送るよう請求する画面になった。
相談者の7割は支払をしていないが、支払を済ませた人の平均額は約13万2千円。約200万円を支払った例もあるという。
サイトを見た機器は、スマートフォンが10年度の46件から11年度は4,229件に急増し、携帯型音楽プレーヤーやゲーム機も増えた。同センターは「スマートフォンでアプリを安易にダウンロードしないでほしい。サイトを見ただけでは個人情報が相手に伝わらないので、相手に連絡をとらないこと」と話している。

介護職員の所定内19.5万円

◆介護労働実態調査
(財)介護労働安定センターによると、月給制労働者の職種別所定内賃金は、介護職員19.5万円、訪問介護員18.9万円、サービス提供責任者22.5万円、介護支援専門員25.5万円などとなった。いずれの職種も対前年増減率は±1%未満の変化にとどまっている。時給制労働者の1時間当たり賃金は、介護職員が2円アップの898円だったのに対し、訪問介護員は14円ダウンの1,235円と落ち込んだ。過酷な労働環境の中、依然、低賃金の状態が続いている。

当事務所よりひと言

最近、電車内でも、飲食店でもスマートフォンを触っている方が多く見受けられるようになってきた。博報堂の10〜60代男女スマートフォンユーザー1000人調査によると、スマートフォン保有率は昨年の5%から28%に拡大。女性比率は31%から51%に拡大しているとのこと。
注目すべきは、調査対象のスマートフォンユーザーの7割がテレビを見るときにスマートフォンを傍らに置き、気になったお店や商品をすぐに検索している点です。さらに、Facebook等のSNSで別の情報を仕入れ、訪問や購入のきっかけとしているなど、今までとは情報の流れがかわりつつあることが見受けられる。かたや、ジャストシステムのスマホ依存に関する実態調査によると、「食事のときに手元に置いている」方が41.5%となっており、確かに息子も食事中も手元で見ている。また「スマートフォンを家に忘れた場合、その日一日中気分がすぐれない」という質問に対して43.9%の方が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答しているようです。
確かにスマートフォンは利便性が高く、これからのビジネスでも一つのキーワードになってくることと思います。ですが人とのコミュニケーションは対面が基本です。過度なスマートフォンへの依存は慎みたいと…、まだスマートフォンを持っていない者の独り言でした。
平成24年8月号 Kitamura SR News

ご存知ですか?解雇のルール

解雇とは、使用者による労働契約の一方的解約です。「使用者に与えられた権利であり、簡単に行使できるもの」との誤解から、トラブルを招くことが少なくありません。
平成23年度の民事上の個別労働紛争の内、解雇に関する事案が最も多く、約2割を占めています。改めて解雇のルールについて確認しましょう。

◆解雇するときは解雇事由を明示しなければなりません
就業規則や労働契約書に、どんなときに解雇されるか(解雇事由)をあらかじめ示しておくことと、その要件に合致することが必要です。就業規則等に具体的な解雇事由が記載されていない場合も見受けられますので、見直しておくことが必要です。

◆解雇権の濫用による解雇は無効です
就業規則や労働契約書に解雇事由が明示されていても「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と労働契約法第16条の定めがあります。
「体調が悪く連絡できないまま無断欠勤をした」といったやむを得ない理由があった場合や「服装がだらしない」といった理由だけで解雇することはできません。

◆解雇の種類
【普通解雇】
病気等によって労働義務が遂行できないことを理由とする解雇です。労働契約の継続が困難な事情があるときに限られます。 会社倒産もこれに当たります。

【懲戒解雇】
極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇です。就業規則や労働契約にその要件を具体的に明示しておくことが必要です。しかし、行政の認定のハードルは高いです。

【整理解雇】
会社の経営悪化により、人員整理を行うための解雇です。裁判例では、次の4点の基準を掲げています。
(1)人員整理を行う経営上の必要性があること
(2)出来る限り解雇を回避するための措置を尽くすこと
(3)解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であること
(4)整理解雇に至ったやむを得ない事情等を労働者に十分に説明し、協議し、納得を得るための手順をキチンと踏んでいること

◆解雇するときは予告が必要です
解雇する30日以上前に予告する必要があります。予告を行わず解雇する場合は、解雇予告手当として最低30日分の平均賃金を支払う必要があります。

◆社員の能力不足の場合はどうしたらいいのか?
裁判例では、社員の能力不足や協調性不足には、会社にも責任があるとしています。つまり、会社には社員を教育・指導する義務があり、十分な教育や指導を行わずに解雇すれば、裁判では、無効と判断されてしまうのです。社員に問題行動が見られたときは、その都度指導して改善を促す必要があります。裁判では、「会社は教育や指導を繰り返し行ったけれども改善されなかった」「改善の見込みがなかった」という証拠が求められます。また、解雇は最後の手段とされていますので、配置転換先がある場合は、先ずは配置転換をしなければなりません。

◆解雇が無効と判断されるとどうなるか?
もし、裁判で解雇が無効と判断されると、解雇した日以降の賃金を支払わなくてはなりません。つまり、社員を解雇した後、解雇無効の判決が1年後にでたら、1年分の賃金を支払うことになります。
裁判所では、なかなか解雇の正当性を認めてもらえません。解雇には、それが覆されるかもしれないというリスクがあります。

最多は月平均67時間!残業の多い職種は?

◆月平均は28.6時間
(株)I社は、25〜35歳の正社員・契約社員5,000人を対象に「残業時間」に関するアンケート調査を実施し、その結果によれば、2012年における平均残業時間は「月28.6時間」で、調査開始(2007年)以降、最も多くなりました。原因は「リーマンショックによるリストラの実施や採用の抑制で人員を抑えていた中、足元の景気回復により企業で人手不足が発生し、既存社員の残業が増えていることが背景にある」ようです。

◆残業の多い職種
職種別(58職種)の平均残業時間の1〜10位は、次の通りです(カッコ内は月平均の残業時間)
1位 映像クリエーター(67.0)
2位 プロパティマネジメント(不動産業)(62.5)
3位 セールスエンジニア(製造業)(57.6)
4位 コンサルタント(シンクタンク)(51.5)
5位 広報(49.7)
6位 ゲームクリエーター(45.0)
7位 ファンドマネジャーアナリスト(44.3)
8位 営業(不動産業)(41.9)
9位 商品管理(流通業)(41.8)
10位 投資銀行業務(41.3)

◆これからの企業の対策
残業増加の要因として「景気回復」と「人手不足」が指摘されていますが、既存社員の業務量(=残業時間)が増える企業は今後も増加すると予想されます。残業時間の増加は、企業(人件費の問題)にとっても、従業員(健康上の問題)にとっても大きな負担となり何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

厚労省の発表にみる「国民年金」の気になる数字

◆国民年金保険料納付率が最低を更新
厚生労働省が7月5日に発表した調査結果によると、2011年度の国民年金保険料納付率は58.8%と、2010年度の59.3%に引き続き60%を下回る結果となりました。
納付率は、20歳以上の学生の強制加入が導入された1991年と翌1992年の85.7%をピークに下がり始め、1997年に制度維持に必要とされる80%を下回り、その後2005年の若年者納付猶予制度導入時にいったん回復しましたが、翌2006年以降下がり続けています。

◆若年層ほど納付率が低い
年齢層別では、「20〜24歳」50.05%、「25〜29歳」46.13%、「30〜34歳」49.63%、「35〜39歳」55.57%、20〜40歳台前半のいずれも「50〜54歳」65.16%、「55〜59歳」71.83%に比べて低くなっています。若年層ほど納付率が低くなる原因として、非正規労働者の増加により、年収が低くて保険料を納めたくても納められない人がいることが指摘されています。

◆加入者の収入の低さは、別の調査結果からも明らか
同じく厚生労働省が9日に発表した公的年金加入者の所得状況の調査結果によると、国民年金第1号被保険者の平均年収は159万円と、第2号被保険者である厚生年金保険加入者、共済年金加入者の平均年収が426万円であることに比べると半分以下であることが明らかとなりました。

平成24年7月号 Kitamura SR News

新しい「在留管理制度」の概要

平成24年7月9日から新しい在留管理制度が導入されました。新制度の対象となるのは、入管法上の在留資格をもって日本に3月を超える中長期間在留する外国人の方です。
4つの大きな変更点について、次の通りです。

◆在留カードの交付
これまで中長期在留者には、外国人登録証明書が交付されてきましたが、新制度では在留カードが交付されます。この在留カードは中長期在留者に対し、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものです。在留カードには偽変造防止のためICチップが搭載されることとなっています。
※「短期滞在」の在留資格、「外交」または「公用」の在留資格の方には在留カードは交付されません。また、特別永住者の方には在留カードでなく、「特別永住者証明書」が交付されます。
【在留カードの記載内容】
顔写真の他、氏名、国籍・地域、生年月日、性別、在留資格、在留期限、就労制限の有無などの情報が記載されます。これらの情報はICチップに記載事項の全部または一部のデータが記載されます。

◆在留期限が最長5年に変更
在留期限の上限が最長5年になったことにより、各在留資格に伴う在留期限が追加されます。
・「技術」、「人文知識・国際業務」などの就労資格(「興行」「技能実習」を除く)
…5年、3年、1年、3月
・「留学」
…4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月、3月
・「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」…5年、3年、1年、6月
※下線部分は新設された期限

◆再入国許可の制度変更
【みなし再入国許可制度の導入】

・有効な旅券及び在留カードを所持する外国人の方が、出国する際、出国後1年以内に本邦での活動を継続するために再入国する場合は、原則として再入国許可を受ける必要がなくなります。(この制度を「みなし再入国許可」といいます)。
・出国する際には、必ず在留カードを提示する必要があります。
・みなし再入国許可により出国した方は、その有効期間を海外で延長することはできません。出国後1年以内に再入国しないと在留資格が失われることになります。
【再入国許可の有効期間の上限が5年となります】
平成24年7月9日以降に許可される再入国許可は、有効期間の上限が3年から5年に伸長されました。

◆外国人登録制度の廃止
新しい在留管理制度の導入により、外国人登録制度は廃止されます。
中長期在留資格者が所持する「外国人登録証明書」については、新しい在留管理制度の導入後、地方入国管理官署での手続や市区町村での住居地関係の手続においては、一定の期間「在留カード」とみなされますので、在留カードが交付されるまで引続き所持しておく必要があります。
中長期在留者は、地方入国管理官署における新たな在留カードの交付を伴う各種届出・申請の際に在留カードに切り替えることとなる他、地方入国管理官署で希望すれば切り替えることができます。
我が国の外国人労働者数は厚生労働省の外国人雇用状況によると、2011年10月末現在で、68.6万人となっています。昨年の東日本大震災の影響で一時的に外国人労働者が減少したと推測されますが、前年同期と比較すると5.6%増えており、10月末には労働者数が回復したものと見られます。
少子高齢化が進む日本において、外国人労働者は労働力不足を補う観点からも増加傾向なると考えられます。

建設業の社会保険 未加入問題への取組について

◆現状と対策
建設業が抱える課題の一つに、下請企業を中心に年金、医療、雇用保険に関する法定福利費を適正に負担していない企業が存在し、それが技能労働者の公的保障部分の処遇を低下させている問題があります。法定福利費を負担しながら労働者を大切にしている企業ほどコスト高になり、競争上不利になるという矛盾が生じています。
この由々しき問題に、国土交通省は建設業の社会保険未加入対策として、建設業法施行規則等の改正を行い、平成24年7月より、新たな取組が順次開始されます。
(1)保険未加入企業に対する経営事項審査評価の厳格化
(2)許可申請書に、保険加入状況を記載した書面の添付
(3)施工体制台帳に保険加入状況の記載
※(2)(3)は本年11月から改正になります。

◆建設業における社会保険未加入問題への対策について
国土交通省発表の対策は、次の4つの柱からなっています。

1.行政・元請・下請一体となった保険加入の推進
@行政、建設業団体、関係団体による推進協議会の設置
A各建設業団体による保険加入計画の策定・推進等

2.行政による制度的チェック・指導
@建設業許可・更新時の加入状況確認
A建設業担当部局による監督
B経営事項審査の厳格化
C厚生労働省との連携

3.建設企業の取組
@元請企業による下請指導 下請企業の保険加入状況を把握し、未加入企業を指導
A元請企業・下請企業による重層下請構造の是正に向けた取組
下請企業における適正な受注先企業の選定、未加入企業との請負契約締結の抑止
B建設企業(特に下請企業)における取組 雇用関係にある社員と請負関係にある者の明確化・雇用化の促進、雇用関係にある者の保険加入徹底

4.法定福利費の確保
@発注者への要請周知、元請企業への指導
A業界における見積時の法定福利費の明示
Bダンピング対策
C重層下請構造の是正

これらについては、平成29年度までの中間時点でそれまでの実施状況を検証・評価し、対 策の必要な見直しを行った上で計画的に推進するとしており、実施後5年を目途に、企業 単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指すとして います。

当事務所よりひと言

建設業の社会保険未加入問題は、相当時間を費やす課題でしょう。下請事業主は、そもそも社会保険の加入義務を知らない方が多く、また、加入した場合のコスト増を知ったら二の足を踏むでしょう。更に下請企業の社員も社会保険の加入義務を知らない方も多く、また、賃金から本人負担分を天引きされるのを嫌がる人も多い傾向が見られます。

平成24年6月号 Kitamura SR News

アルバイト・パート社員は仕事に何を求めている?

(株)インテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」は、アルバイト・パート社員の'仕事探し'の意識調査を実施し、その結果を発表しました。

◆仕事探しを始めた理由
アルバイト・パートで求職活動中の男女に、尋ねたところ、トップは「貯金を増やしたかった」(33.5%)で、「趣味に使うお金が欲しかった」(31.9%)、「生活費を補いたかった」(30.0%)などが続いています。 当然と言えば当然ですが、お金に関する理由が上位を占めています。

◆仕事を探す際に重視する点
【高校生】
.「勤務地が自宅から近い」(58.7%)
・「勤務地が学校や習い事の場所から近い」(34.27%)
【大学生】
・「店長や社員の人の雰囲気が良い」(58.7%)
・「時間の融通が利く」(56.9%)
【主婦】
・「長い期間働ける仕事である」(34.4%)
・「やりがいのある仕事である」(42.4%)
高校生は、勤務地から自宅や学校などの距離を重視しており、大学生は、働く人やシフトの柔軟性など働きやすい職場を求めており、主婦は、じっくりと腰を据えて働き続けられることや遣り甲斐を得られる職場を求めているようです。

身近になった「在宅医療」「在宅介護」

◆4月からの制度改定
この4月から、医療保険制度と介護保険制度が一部改定されました。 できるだけ病院や介護施設に入らず、自宅において医師・看護師・ヘルパーに世話をしてもらいながら療養する人を増やそうという狙いがあるようです。

◆「報酬改定」による影響
診療報酬や介護報酬は、2〜3年に一度、物価動向などを踏まえて政府が見直しを行い、医療や介護行為にかかる報酬を改定するものです。今回は在宅医療にまつわる報酬が上がったこともあり、訪問診療などを手掛ける医療機関が増える可能性が指摘されているようです。

◆診療報酬改定のポイント
医療保険分野では、診療報酬改定率はほぼ横ばいの0.004%(本体プラス1.379%/薬価・材料等マイナス1.375%)の増加で、2010年度の改定で10年ぶりに増加(0.19%)したのに続き、2年連続で増えました。
また、早期退院から在宅医療への円滑な移行、訪問介護の充実、精神疾患・認知症対策の推進などにも、重点的に配分がなされました。

◆介護報酬改定のポイント
介護保険分野では、介護報酬改定率は1.2%増加で、2009年度に引き続きプラス改定となりました。 ただし、「介護職員処遇改善交付金」が2011年度末で終了したため、マイナス0.8%の改定ととらえることもできます。
この交付金は終了しますが、「介護サービス提供の効率化・重点化を図る観点から在宅医療への移行を図る」「介護職員の処遇改善を確実に図る」などの要件を満たした場合には、事業者が人件費に充当するための報酬加算が行われています。

時間外労働および賃金の端数処理

◆貴社の端数処理は?
労働基準法第24条は、賃金の全額払いを規定していますが、事務処理上、各人ごとに1円単位まで計算するとなるとかなり面倒です。そのため、事務合理化の一環として、1ヵ月における時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の時間数の合計額に1時間未満の端数がある場合には、30分未満の端数を切捨て、それ以上を1時間に切上げることなどが認められています。賃金については円未満端数が生じた場合、50銭未満の端数を切捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切上げることが認められています。
就業規則に定めることを前提に、1ヵ月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切捨て、50円以上の端数を100円に切上げて支払うことができる。また、1ヵ月の賃金額に1000円未満の端数が有る場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰越すことが認められています。

◆問題点
上記の取扱は、いずれも「月単位」であること。一部では、面倒臭いという理由から、1日単位で5分の遅刻を30分の遅刻とするなど(25分のカット)がみられるが、これは賃金全額払いの違反となる。端数処理はあくまで1ヵ月単位で行うものであり、「1日単位」は減給制裁を除いて違法と認識しましょう。

改正育児・介護休業法への対応はおすみですか?

◆未対応の場合は早急な対応を!
7月1日から改正育児・介護休業法が全面施行となります。これにより、適用が猶予されていた従業員100人以下の企業についても、以下の制度を導入することが義務となります。

◆短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
・事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければなりません。
・短時間勤務制度は、就業規則に規定されるなど、制度化された状態になっていることが必要であり、運用で行われているだけでは不十分です。
・短時間勤務制度は、1日の労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません。

◆所定外労働の制限
・3歳に満たない子を養育する従業員が申出た場合には、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。

◆介護休暇
・要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う従業員が申出た場合、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得させなければなりません。
・介護休暇は、労働基準法で定める年次有給休暇とは別に与える必要があります。

「熱中症」のリスクと効果的な対策

◆梅雨明け直後が危ない
熱中症発生のリスクが高いのは、梅雨明けの直後の体がまだ暑さに慣れていない時期です。
時間帯では、午後2時から4時に最も多く発生しています。また、建設業、製造業などでは、作業環境によってはこの時期以外でも急に暑くなった日などは要注意です。午前中から、こまめな休憩や水分補給が重要です。

◆「めまい」「頭痛」「吐き気」を感じたら要注意
熱中症の初期的症状としては、「体がだるい」「頭痛や吐き気がする」「めまいがする」といった状態が挙げられます。これらの症状を感じたら涼しいところで水分と塩分を摂り、症状が軽いと思われる場合でも、医師の診断を受けるようにしたほうが安全です。

平成24年5月号 Kitamura SR News

最近の労働関係の地裁裁判例から

◆自動車メーカーによる雇止め等(4月16日)
自動車メーカーが行った雇止めや派遣切りは無効であるとして、工場で働いていた元期間従業員(4人)と元派遣社員(3人)が雇用継続の確認を求めていましたが、東京地裁はこれらの請求を棄却しました。ただし、元期間従業員がカットされた未払い賃金(1人約58万〜63万円)の支払いは命じました。

自動車メーカーでは、契約打切りに応じなかった期間従業員に「契約期間終了までの休業」と「約4割の賃金カット」を2008年12月に言い渡して翌年4月で雇止めとし、派遣社員は派遣元から2008年12月に解雇されていました。

裁判長は「不況に伴う雇止め・派遣切りは合理的である」と判断しました。

◆銀行におけるパワハラ(4月19日)
パワハラ被害により退職せざるを得なくなったとして、50代の社員が銀行と上司に対して損害賠償(約4,900万円)を求めていましたが、岡山地裁は社員の精神的苦痛を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じました。

2007年3月頃、仕事上でミスをした社員に対して「辞めてしまえ!」などと当時の上司が強い言動で叱責するなどし、この社員は2009年に辞表を提出して退職しました。

裁判長は「上司の叱責は病気療養から復帰直後の社員にとって精神的に激しく、パワハラに該当する」と認定しました。

◆過労による高校教諭の死亡(4月23日)
高校教諭の男性が修学旅行の引率から帰宅途中に急性心筋梗塞を発病して死亡したのは過労が原因であるにもかかわらず、公務災害と認定されなかったとして、遺族である妻が「地方公務員災害補償基金」に対して不認定処分の取消を求めていましたが、東京地裁は公務と死亡の因果関係を認め、上記処分を取消しました。裁判長は、死亡するまでの1週間の間の労働時間が法定の2.5倍以上に及んでいたと認定し、「日常の勤務と比べて質・量とも特に過重だった」と判断しました。

懲戒処分と事実関係把握

◆懲戒処分の行使
常時10人以上を使用する場合、就業規則を作成し労働基準監督署に届出る義務があります。

使用者の専権事項だからといって、それに規定する制裁条項も勝手に運用したいところですが、いきなり懲戒解雇にすると公序良俗に反するとして、行政判断は無効とする恐れが高いです。

◆懲戒解雇
制裁は最も軽い譴責・戒告から懲戒解雇まであるのが一般的で、特に懲戒解雇は、解雇予告規制の例外を定めた労基法20条1項の「労働者の責めに帰すべき事由」がなければなりません。

その内容は単なる違背行為ではなく、経営上の基盤を脅かし会社の信頼を失墜するような重大な違背行為に適用されます。制裁に当たっては、懲罰委員会に諮問され、その答申に基づいて行うのが一般的ですが、重大な違反は役員会、軽微な違反は上司への始末書提出で済ますケースが多いようです。

懲戒解雇のほか減給制裁は法律で制限が規定され、自宅謹慎は労働者の生活権に関わるため公序に基づいて結論を下す必要があります。

パート労働者へ社会保険適用を拡大へ

◆重要度を増すパート労働者
企業内におけるパート労働者の役割は年々重要度を増しており、正社員並みの中核業務を任せる企業も多くなっています。 正社員並みの中核業務を担当させるような企業においては、仕事が同じ正社員とパート労働者の賃金水準を同等にしたり、就業環境の整備を行ったりしています。

◆セーフティネットの強化
このような状況下において、国は、被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられないパート労働者などの非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における格差を是正したいと考えました。

そこで、政府は、パート労働者への社会保険の適用拡大を検討しています。2016年4月から、「週勤務時間20時間以上」「年収94万円(月収7万8000円)以上」「勤務期間1年以上」で「従業員501人以上の企業で勤務」の人を社会保険適用の対象にするとし、さらに3年以内に対象の拡大を行うというものです。

加入が進めばパートの将来への安心感は増しますが、企業の負担は大きくなるため(約800億円と推計)、反発の声があがっています。

◆負担軽減措置も検討
今回の適用拡大をめぐり、厚生労働省では、高齢者医療費の拠出金などについて負担を軽減する特例措置の導入を検討しています。 パート労働者が多い業界(外食、流通業など)を対象に、負担増の部分について健康保険組合の加入者が肩代わりするというものです。企業にとっては、今後の動きから目が離せません。

学生は「大企業」「中堅中小企業」どちらを選ぶ?

◆インターネット調査の結果から
D社から、2013年3月卒業予定の大学生(主に現大学3年生)を対象に行った就職活動に関するインターネット調査(回答者数1,290人)の結果が発表されました。

これによると、大手企業を中心に就職活動をしている学生は「40.2%」、中堅中小企業を中心に活動している学生は「14.0%」でした。 しかし、3年前のアンケートでは、活動の中心が大手企業の学生は「51.9%」、中堅中小企業が中心の学生は「5.9%」であり、ここ数年、中堅中小企業も志望する学生は着実に増えています。

◆中堅中小でやりがいのある仕事を
また、M社が実施した「2013年卒大学生就職意識調査」でも、『中堅・中小企業志向』(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」「中堅・中小企業がよい」との回答割合)が2001年卒以降で最高の59.2%となっており、『大手企業志向』(「絶対に大手企業がよい」「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」との回答割合)の減少傾向が続いています。

不透明な経済情勢が続くなか、大企業よりも、比較的若いうちから中心的な仕事を任される可能性が高い中堅中小企業の志望者が増えているようです。

◆転職理由のベスト3
大手企業・中堅中小企業のどちらへの就職であっても、企業側が気になるのは、採用した社員の転職です。 I社が発表した「転職理由調査2012年版」の結果によれば、転職理由のベスト3は次の通りとなっています。

(1)「会社の将来性が不安」(14.2%)
(2)「他にやりたい仕事がある」(13.2%)
(3)「給与に不満がある」(8.5%)と続きました。

時間とお金をかけ採用・育成した社員をいかに定着させるかが、企業には問われるところです。

若年層雇用の問題点

今春卒業した大学生の就職内定率(2月1日時点)は過去3番目に低い80.5%でした。現時点でもまだ多くの学生が就活を続けており、新卒者の就職環境は依然厳しいようです。

「高年齢フリーター」(35〜44歳のフリーター)は過去最高の約50万人に上がっています。政府は「トライアル雇用制度」「ジョブカフェ」など、若年層向けの雇用対策を進めていますが「高年齢フリーター」に対する支援は十分ではありません。若年層の採用を考えている中小企業にとってはチャンスです。

平成24年4月号 Kitamura SR News

「裁判員休暇制度」への対応

◆導入時の留意点
先日、連続不審死事件裁判員裁判で、さいたま地裁は死刑を言い渡しました。  裁判員は、過去最長の任期の100日間にわたる審理に取り組みました。今回の判決は地裁判決であり、被告は控訴しているので、裁判員の入らない高裁で問われることになります。裁判員法では、裁判員として業務に従事するために従業員が会社を休む場合、年次有給休暇を使用させるのか、特別休暇を設けてこれを使用させるか、裁判員休暇の期間は有給か無給かについては定めがなく、扱いは会社の判断に委ねられています。

◆裁判員の日当等と「裁判員休暇」の関係
裁判員、補充裁判員および裁判員選任手続の期日に出頭した裁判員候補者に対しては、旅費、日当および宿泊料が支給されます。  裁判員および補充裁判員については1日当り1万円以内において、裁判員選任手続の期日に出頭した裁判員候補者については1日当り8,000円以内において、裁判所が定めます。

◆休暇の取扱
1.年次有給休暇を使用する
裁判員休暇を設けず、年次有給休暇の使用により裁判員業務に従事することは、何ら問題ありません。ただし、入社して間もなく有給休暇の権利が発生していない従業員の場合は、無給で裁判員の審理に参加することになります。もちろん日当は支払われますが、審理が長期化した場合に、生活に影響を与えるかも知れません。このような場合、裁判員休暇を定めていなくても、任意に裁判員として審理に参加している期間を有給の休暇として取扱い、賃金を100%支払うのか、一部を支払うのか、会社の判断です。

2.有給扱いの場合
日当を審理に参加したことに対する報奨金としてとらえ、裁判員として会社を休んでいる期間の全てを有給の休暇として取扱う場合、次の2ケースがあります。
@「裁判員休暇」を新設する
裁判所に出頭する事実を確認するための証明書を提出してもらうなど、従業員が裁判員として休暇を取得する事実を確認する必要があります。休暇期間は有給とすると明記します。
A既存の規定を準用する
就業規則の特別休暇の中に「公民権の行使」「公の職務の執行」の条項を準用して対応し、休暇期間は有給とすると明記します。

3.無給扱いの場合
「裁判員休暇」を新設、または既存の規定を準用する中で、無給であることを明記することで対応できます。
規定例については、お問合せ下さい。

高年齢期の「働く意欲」と「活躍の場」

◆高年齢期における働く意欲
厚生労働省が「第6回 中高年者縦断調査」の結果を発表し、60〜64歳の人のうち、5割超の人が「65歳以降も仕事を続けたい」と考えていることがわかりました。また、70歳以降でも3割近くの人が仕事をしたいと望んでおり、働く意欲は高年齢期となってもかなり高いようです。働く目的は、「年金以外に収入が必要である」、「健康を維持したい」、「社会とのつながりを求めたい」など多様になっています。

◆「中高年者縦断調査」とは?
この調査は、毎年同じ人を追跡し、「健康」「就業」「社会活動」などの変化の過程について継続的に調査するもので、2005年11月に第1回目が実施されました。今回は、50代をどのように過ごせば高年齢期に充実した生活を営むことができるか、特に団塊世代を含む60歳以上(60〜64歳)の男女に焦点を当てて、就業意識、就業実態、健康状態について分析しています。

◆実際に収入を伴う仕事をしているか
また、株式会社インテージでは、「団塊世代の男性のライフスタイル」に関する調査を実施しました。62〜64 才の団塊世代の男性800名が回答しています。まず、団塊世代の男性に現在の就労状況を尋ねたところ、下記の通りの結果となっており、収入を伴う仕事をしている人は61.0%で、そのうち約8割の人が「週に4〜5日以上働いている」こととなっています。
(1)働いていない…39.0%
(2)働いている(ほぼ毎日)…27.1%
(3)働いている(週に4〜5日)…22.1%
(4)働いている(週に2〜3日)…8.1%
(5)働いている(週に1日程度)…1.8%
(6)働いている(それ以下)…1.9%

◆活躍する「場」の提供
健康で働く意欲が高い高年齢者に対して「活躍の場」を提供することは、少子高齢化により労働力不足が進行しつつある日本にとって、ますます重要になってくるでしょう。

労務問題をめぐる最近の裁判例から

◆派遣社員への慰謝料支払いを命令(2月10日判決)
大手電機メーカーの子会社(愛知県)で働いていた元派遣社員の2人(別の会社から派遣)が「派遣切り」にあったとして、直接雇用と慰謝料の支払いを求めていた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は一審判決(計約130万円の支払いを命令)を支持する判決を下しました。一審(名古屋地裁)では、「賃金の高さなどを理由に突然の派遣切りを行っており、著しく信義にもとる対応である」として、会社側の不法行為を認めた一方、派遣社員と同社の間に直接の雇用契約があったとは認めていませんでした。

◆コンサル会社社員の長時間労働による精神疾患を認定(2月15日判決)
精神疾患を発症したのは長時間労働が原因であるとして、建設コンサル会社(東京都)の社員が会社に対して損害賠償(総額約660万円)などを求めていた訴訟の判決があり、大阪地裁は男性側の主張を認め、会社側に440万円の支払いを命じました。この男性は、遅くとも2002年12月に精神疾患を発症しましたが、2002年の時間外労働時間が月平均約135時間となっていました。裁判長は、「上司らは長時間労働や健康状態の悪化を認識しながら、負担を軽減させる措置をとっておらず、安全配慮義務違反である」としました。

◆個人業者を「労働者」と認定(2月21日判決)
音響機器メーカーの子会社(神奈川県)が、機器修理を行う個人業者(会社と業務委託契約を締結)の労働組合との団体交渉を拒否したことが「不当労働行為」と認定されたため、認定を行った中央労働委員会の救済命令取消しを求めていた訴訟の上告審判決があり、最高裁(第3小法廷)は、「業務実態から業者は労働基準法上の労働者に該当する」との判断を下しました。労働組合は、2005年1月に最低保障賃金を月30万円とすることなどを求めていましたが、子会社側は「会社が雇用している労働者の組合ではない」として団体交渉に応じませんでした。しかし、最高裁は「子会社の指定する方法に従って指揮監督を受けて労務を提供し、時間的にも拘束されている」、「個人業者が基本的には労働者に該当するとの前提で、なお独立の事業者の実態があると認められる特段の事情があるか否かを再審理すべき」としました。

平成24年3月号 Kitamura SR News

7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行

◆100人以下の事業主にも適用
男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方の実現を目指し、2009年に「育児・介護休業法」が改正されました。これまで、従業員100人以下の事業主には、下記の制度の適用が猶予されていましたが、7月1日よりすべての事業主に適用されますので、注意が必要です。

◆短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
(1)事業主は、3歳に満たない子を養育する社員について、本人が希望すれば利用することのできる「短時間勤務制度」を設けなければなりません。
(2)「短時間勤務制度」は、就業規則に規定しているなど制度化されている必要があり、運用されているだけでは不十分です。
(3)「短時間勤務制度」は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含めなければなりません。なお、1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務を選択することができる制度を設けたうえで、その他、例えば1日の所定労働時間を7時間や5時間とする措置や、隔日勤務で所定労働日数を短縮する措置などを併せて設けることも可能です。

◆所定外労働の制限
(1)3歳に満たない子を養育する社員が申出た場合、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は従業員の請求を拒むことができます。
(2)所定外労働の制限の申出は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日までの1カ月前までに事業主に申出る必要があります。また、この申出は何回でもすることができます。

◆介護休暇について
要介護状態(負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態)にある家族の介護や世話を行う社員は、事業主に申出ることによって、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。

◆近づく全面施行を前に
いずれの制度についても、新たに対象となる事業主はあらかじめ制度を導入したうえで、就業規則などに記載し、従業員に周知する必要があります。また、適用除外とできる社員の要件などにも注意が必要です。全面施行が近づいていますので、早急に導入に向けた準備が必要です。

最近の労働関係の裁判例から

◆「期間満了を理由とする雇止め」をめぐる裁判例
京都市にある大学が、期間満了を理由として雇用契約を更新しなかったのは不当であるとして、元助手の女性が雇用の継続などを求めていた訴訟は、大学がこの女性を今年4月から新たに1年間雇用する(契約更新なし)との内容で、京都地裁で和解が行われました。(2011年12月22日)
この女性は、2007年4月から「契約期間3年」で勤務していましたが、2010年3月末に雇止めされました。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新される」との説明を受けていたことから、提訴していたものです。
女性は「教員の使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが多くの教員は泣き寝入りしている」と話しており、大学側は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」と話しているそうです。

◆「過労死」をめぐる裁判例
新聞社の記者だった男性が糖尿病の悪化により死亡したのは過労が原因だったとして、この男性の父親が労災と認定しなかった国の処分の取消しを求めていた訴訟(控訴審)で、東京高裁は、一審の東京地裁判決(請求棄却)を支持し、控訴を棄却しました。(2012年1月25日)
裁判長は、業務内容を「精神的・身体的に著しく負担が大きかった」と認定しましたが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」とし、業務と死亡との因果関係を否定しました。
この男性は1984年に入社し、1997年6月に糖尿病の合併症が原因で死亡しました。直前の同年5月までの半年間の時間外労働は、月平均約134時間だったそうです。

◆「育休に伴う解雇」をめぐる裁判例
育児休業の取得を理由に解雇されたのは違法であるとして、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が解雇無効の確認などを求めていた訴訟で、さいたま地裁は、同会が請求を認める「認諾」を表明して審理が終結しました。職場復帰と同会および同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったそうです。(2012年2月2日) 原告側の代理人弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話しているそうです。
この女性は2005年8月に事務職として入社し、2009年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休みましたが、同年11月以降、同会役員らに退職を勧められました。2010年4月から産休と育休を取得し、2011年5月18日に復帰すると、そのまま解雇されていました。

「『競業他社への転職禁止』の契約は無効」との判決

◆非常に大きなインパクト
今年1月上旬、外資系の大手生命保険会社が同社の執行役員と交わした契約条項(退職後2年以内に競業他社に就職するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない)の有効性が争われた訴訟の判決がありました。この判決内容は非常にインパクトのあるものであり、大きく報道されました。

◆退職金3000万円の支払いを命じる
東京地裁は、次のように判断し、元執行役員男性の請求通りに、会社に対して退職金(約3000万円)の支払いを命じました。
(1)「情報の流出を防ぐ目的で競業他社へ転職 を禁じるのは過大」
(2)「職業選択の自由を不当に害している」
(3)「契約条項は公序良俗に反して無効」
原告側弁護士によれば、外資系企業では上記のような条項を交わすケースが多く、「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断」としています。

◆判断のポイントは?
一般的に、上記のような「競業他社への転職禁止」の契約は、優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に締結されます。過去にも、競業他社への転職について争われた裁判例があります。それらの判断のポイントは、次の通りとされています。
(1)競業他社への転職を希望する者の会社内での地位が高ければ高いほど、転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
(2)転職先の競業会社の内容・場所も考慮されており、それらが近ければ近いほど転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
競業他社への転職禁止に関する契約を従業員と締結する場合、上記のことを考慮する必要があります。

当事務所よりひと言

会社は仕事を委託する際、業務委託契約書を締結してください。後日、トラブッて雇用契約につき未払賃金を請求されないために、請負・委任契約と雇用・労働契約とは明確に区分が必要!

平成24年2月号 Kitamura SR News

再就職氷河期!転職活動で苦戦する40代の現状

◆「バブル入社組」の40代の現実
不景気が続く中、リストラを余儀なくされた方々は、再就職活動で苦戦を強いられているようです。特に「バブル入社組」と言われる40代は、「再就職氷河期」に戸惑っているようです。

◆広がるリストラの対象年齢
総務省発表の「2010年労働力調査」によれば、「会社倒産・事業所閉鎖」「人員整理・勧奨退職」により離職した人の数は、30代で約16万人、40代で約18万人、50代で約18万人となっています。
2000年頃までは、リストラ対象の中心は50代でしたが、最近は、20〜30代にまで対象年齢が広がっているため、特に40代の方々は苦戦しているようです。
40代が転職市場で特に苦戦する理由として、次のことが挙げられています。
(1)ポスト不足により管理職への昇格が遅れがちであった。
(2)「バブル入社」でキャリアが十分に身に付いていない場合がある。
(3)体力面や環境適応能力面で20〜30代の若手に負けてしまう。


◆どのぐらいで再就職が決まっているか
40代は、子供の教育費などがかさむことが多いため、「とにかく早く再就職先を決めたい」という思いが強いようです。
しかし、離職後「半年以内」に再就職先が決まる人はわずか3割程度で、「1年以内」に決まる人が9割程度といった状況のようです。

◆再就職活動中に必要な心構え
就職活動が長期化すると、家庭内・夫婦仲が険悪になるケースが多く、厚生労働省の機関である人材銀行の専門員は、「家族も心配しているのですから、求職活動の状況を隠さずに話すなど、コミュニケーションを大切にしたほうがよいでしょう。平日はいつでも面接に応じられるように準備を行い、週末はすべてを忘れて過ごすなどのリズムも大切です」と助言しています。 また、別の専門家は、「グローバル化などの環境変化にもアンテナを張りめぐらしつつ、自分のキャリアを微調整し、必要な能力を高めていくような仕事習慣や生活習慣を維持していけば、リストラに強くなれます」と話しています。

元本割れが急増する「確定拠出年金」の問題点

◆2年半ぶりの高水準
確定拠出年金の加入者のうち、元本割れとなっている人の割合が約6割(2011年9月末時点)に上ることが明らかになりました。
半年前の約4割から急増しており、半期ベースでは2年半ぶりの高水準となっています。

◆確定拠出年金の仕組みは?
確定拠出年金は、毎月一定金額を個人ごとの口座に積み立て、その元本と運用益が老後の年金原資となる制度であり、「企業型」と「個人型」とがあります。
企業型の場合は、企業が毎月決まった拠出額を従業員の口座に振込み、従業員自らがその運用方法を決定します。なお、2012年1月からは「マッチング拠出」の導入により、従業員による拠出も可能となっています。
個人型の場合は、自営業者や勤務先に企業年金制度がない会社員が個人で加入して掛金を拠出し、運用を行います。

◆世界的な株安が大きく影響
元本割れに陥る人が急増している背景には、世界的な株安の問題があります。
格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を手掛ける金融機関3社の協力を得て、加入期間半年以上の加入者(3社合計で約140万人。国内の加入者数全体の3割強)の運用実態を調べたところ、通算利回り(年率換算)がマイナスとなり元本割れの人は全体の57.8%となりました。

◆将来の受給額減少につながる
確定拠出年金は、確定給付年金とは異なり、企業が不足分の補填を行わないため、運用低迷が加入者の将来の受給額減少に直結します。
確定拠出年金を導入している企業では、運用利回り平均2.2%を目標として掲げていますが、マイナス1.9%(昨年9月末時点)にとどまっています。とは言っても、税制優遇などの点でメリットが大きいこともあり、確定拠出年金に代わる有効な手段がないのも現実です。
今後についても運用低迷が予想されるため、新興国株を運用商品に追加したり、年金運用研修を強化したりするなどの対策が必要だと言われています。

うつ病などの精神障害に関する労災認定の新基準

◆迅速な審査の必要性
近年、精神障害による労災請求件数が増加し、各事案の審査に平均約8.6カ月を要していたことから、迅速な審査を行う必要性が指摘されていました。
厚生労働省では、平成22年10月から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、昨年12月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を発表しました。

◆新しい認定基準のポイントは?
この新しい認定基準のポイントは、次の通りです。
(1)わかりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
(2)いじめやセクハラのように出来事が繰返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
(3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
厚生労働省では、今後はこの新しい基準に基づいて審査の迅速化を図り、精神障害の労災請求事案については「6カ月以内」の決定を目指すとしています。また、わかりやすくなった新基準を周知することにより、業務によって精神障害を発病した人の認定の促進も図るとしています。

◆セクハラ事案について
なお、セクハラが原因で精神障害を発病したとして労災請求がなされた場合の心理的負荷の評価については、次の事項に留意するとしています。
(1)セクハラ被害者は、「勤務を継続したい」とか、「セクハラ行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたい」との心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にはならない。
(2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申し立てていないことが、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。


平成24年1月号 Kitamura SR News

未払い残業代をめぐる裁判例と未払い残業の現状

◆裁量労働制と未払い残業代
コンピューター会社でSEとして働いていた男性が、裁量労働制を適用されていたものの、実際には裁量外の労働を行っていたとして、勤務していた会社に対して未払残業代など(約1,600万円)を求め、京都地裁に提訴していましたが、同地裁は、会社側に約1,140万円の支払いを命じる判決を下しました(10月31日)。
判決理由で裁判官は、裁量労働制が適用されるSEであったが、ほとんど裁量が認められないプログラミングや営業活動等に従事していたと判断して、「裁量労働制の要件を満たしているとは認められない」としました。
なお、この男性は2002年にこのコンピューター会社に就職し、2009年3月に退職しましたが、退職前の5カ月間は、月に約80〜140時間の残業をしていたそうです。

◆双方代理人弁護士のコメント
男性側の代理人弁護士は「裁量労働制を採用していたのに適用せず、残業が認められたのは珍しいケース」とし、会社側の代理人弁護士は「システムエンジニアの職務の実態を裁判所が理解していない。主張が受け入れられず残念」としています。

◆割増賃金の不払状況
厚生労働省から、全国の労働基準監督署が取りまとめた割増賃金の不払いに関する状況が発表されました。
平成22年4月から平成23年3月までの1年間の間に、残業に対する割増賃金が不払いになっているとして労働基準法違反で是正指導を行った事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案をまとめたものです。

◆1社で3億円超の支払いも
この取りまとめによれば、是正企業数は1,386企業(前年度比 165企業増)、支払われた割増賃金合計額は123億2,358万円(同7億2,060万円増)、対象労働者数は11万5,231人(同3,342人増)と、いずれも増加しています。
なお、支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円(労働者1人当たり11万円)で、1企業での支払額については、上位から、3億9,409万円(旅館業)、3億8,546万円(卸売業)、3億5,700万円(電気通信工事業)となっています。

「過労死」をめぐる労災認定事例・裁判例

◆過労死の理学療法士について労災認定
昨年10月に急性心不全で亡くなった私立病院勤務の理学療法士の男性(当時23歳)について、横浜西労働基準監督署が過労死の労災認定の決定を行いました(10月4日付)。
遺族側代理人の弁護士によれば、この男性は2010年4月から病院で働き始め、患者の治療計画作成・治療・リハビリなどの業務を担当していましたが、担当患者が増えたことに加えて、研究発表の準備等も行っていたことから、同年9月以降は非常に多忙となっていました。
男性は、早朝・深夜の時間帯に自宅等で研究発表のための準備を行っていましたが、病院側は「勤務ではなく自己研鑽」であるとして、その時間分の残業代は支払っていなかったそうです。
労基署では、研究発表の準備を労働時間として算定はしませんでしたが、これらの時間が男性の重い負担になったと判断し、労災認定を行いました。

◆過労死で労災認定を受けた従業員の企業名公表
大阪地裁は、過労死などにより従業員が労災認定を受けた企業の名称を公開しないとした大阪労働局の決定の適否が争われた行政訴訟において、労働局の決定を取消す判決を下しました(11月10日)。
同地裁は、「企業名を公開したとしても、社員のプライバシーや企業の信用を失うおそれはなく、不開示は違法である」と判断したものです。 原告側代理人の弁護団によれば、企業名の情報開示を認めた判決は初めてであり、「企業側が社会的監視にさらされることにより、過労死をなくす努力をより強く求められることになる。健康管理態勢の改善につながる画期的な判決である」として、高く評価しているようです。
敗訴した労働局側では、「労災を発生させたことを広く知られるのを恐れた企業側が、就労実態調査に協力的でなくなる」としていましたが、その主張は退けられました。

会社が負担した忘年会・新年会費用の取扱い

◆全社員を対象として事業所ごとに行われた忘年会・新年会
社員や役員を慰安するために行われる費用で、次の@Aの要件を満たす場合には、税務上において福利厚生費として取扱い、損金の額に算入します。@全社員や役員を対象として行われるもの
A通常飲食に要する費用であること
@については、必ずしも全社員一堂に会して行う必要はなく、例えば営業部ごとの開催など、組織として行われていると認められる場合には、福利厚生費として取扱われます。
Aの「通常飲食に要する費用」とは、社会通念上一般に供与される程度、すなわち常識の範囲内の費用となります。しかし、二次会以降の費用は「通常飲食に要する費用」の範囲を超えるものとして交際費として取り扱われます。

◆一部の社員と役員が個人的に行った忘年会・新年会
特定の者だけが参加し、参加者の個人的なものである場合には、個人的な費用を会社が負担したことになりますので、その参加者に対する給与(賞与)として取扱われます。したがって、参加者が役員である場合には、役員賞与として全額が法人の費用として認められませんし、役員賞与に係る所得税の源泉徴収が必要となります。

◆取引先を接待する目的で行われる忘年会・新年会
取引先を接待する等の業務に関係があるため、交際費となります。ただし、一人当たりの飲食費用が5,000円以下であり書類の保存など一定の要件を満たせば、税務上において交際費から除くことができます。また、特定の社員を接待することを目的として開かれる忘年会・新年会費用も、交際費として取扱われます。この場合には、一人当たりの飲食費用が5,000円以下であっても、税務上の取扱いは全額交際費となります。
詳しくは、顧問税理士さんにご確認ください。

定年後も傷病手当金が出る?〜資格喪失後の継続給付〜

◆定年間近の男性社員が病気となり、そのまま退職したとき、資格喪失後の継続給付により1年6カ月傷病手当金の受給が可能か?
資格喪失の前日まで引続き1年以上被保険者であった者が、資格喪失時に傷病手当金を受けていれば、退職後も引続き手当金を受給できます。しかし、昭和28年4月1日以前の生まれの方で間もなく60歳に達するとすれば、その時点から60歳前半の老齢厚生年金のうち報酬比例部分の支給が開始します。
傷病手当金の資格喪失後の継続給付は、「国民年金法、厚生年金保険法等に基づく老齢・退職を事由とする年金を受けることができるときは、傷病手当金を支給しない」と規定されています。(健康保険法第108条)。年金の額が傷病手当金の額より少ないときは、傷病手当金から差額が支給されます。退職後の継続給付を受けていても、老齢厚生年金の支給が始まれば、傷病手当金は調整の対象となります。

03-3652-8779受付 平日AM10:00〜PM6:00お気軽にお問合せ下さい
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